下眼瞼(下まぶた)の治療・名医

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クマの治療に
必要な解剖の知識KNOWLEDGE

クマの成因について考えるためには、その周囲組織も含めた解剖について理解しておく必要があります。

ここでは中顔面、すなわち下眼瞼と眼窩前部、頬部の構造について説明致します。

※ここで解説する解剖学的用語に関しては対応する日本語名が確立されていないものもありますので、これらにつきましては用語の混乱を避けるため英語の表記を用いております。

下眼瞼と頬部を構成する
主な構造

下眼瞼は、皮膚、瞼板、眼輪筋、下眼瞼牽引筋、それらをつなぐ腱、眼窩の骨や脂肪によって構成されています。

下眼瞼を含む中顔面の印象は、同部位の性状や解剖すなわち皮膚の質感、内眼角・外眼角や眼球の位置、眼輪筋の緊張度合い、眼窩脂肪の突出度合、頬部にある靭帯の位置などの影響を受けることを念頭におく必要があります。

下眼瞼・頬部の皮膚

眼瞼の皮膚は、人体の中でペニスの包皮や鼠径部皮膚と並んで最も薄いです。

その理由はコラーゲン(膠原線維)、エラスチン(弾性線維)とグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸など)の量が少ないことによります。

皮膚の色は、ヘモグロビンとメラニンの量に加えて、皮膚の性質により影響を受けます。

下眼瞼は頬部と比較して皮膚が薄く、かつ深部に存在する眼輪筋も部位や厚みが異なるため、両者で色調が異なることは許容される必要があります。

瞼板と支持組織
(tarsal plates and surrounding structure)

瞼板は細長い長方形の組織です。下眼瞼瞼板の縦幅は約4mmで、上眼瞼の10mmに比べて小さく、厚さは平均1.36mmです。

下眼瞼の瞼板下縁には下眼瞼牽引筋の腱膜が付着しています。

瞼板の外側はlateral canthal bandによって頬骨に、内側は内眼角腱(medeial canthal tendon)によって上顎骨および涙骨に付着しています。

内眼角腱は、「内眼瞼靭帯(medial palpebral ligament)」と呼ばれることもありますが、骨と骨を結びつける組織ではないため、「腱」が名称として正しいと思われます。

瞼板内部にはマイボーム腺として知られる皮膚腺が垂直に存在します。

上眼瞼には30から40個、下眼瞼には20から30個のマイボーム腺があり、分泌物は涙液層の表皮を覆うことにより涙の蒸発を防ぎ、眼表面の湿潤を保っています。

外眼角は通常、内眼角より1~2mm高い位置に存在しています。

下眼瞼牽引筋群
(lower eyelidretractors;LERs)

下眼瞼牽引筋群は下眼瞼を下方に牽引する筋群です。

下眼瞼牽引筋群は前層と後層からなり、前層は、上眼瞼における挙筋腱膜に、後層はミュラー筋に相当します。

後層は下眼瞼筋(inferior tarsal muscle)とも呼ばれ、交感神経作動性の平滑筋を多く含みます。

ホルネル症候群ではこの筋が弛緩することにより下眼瞼が上方に偏位する”reverse ptosis”という状態となります。

下眼瞼牽引筋群はLockwood靭帯を介して下直筋と連動している。

下方視をする、すなわち下直筋が収縮すると、同時に下眼瞼も下方に動くのはそのためです。

また、下眼瞼牽引筋群には下眼瞼瞼板の向きを安定させる役割があり、加齢に伴う下眼瞼牽引筋群の弛緩は退行性眼瞼内反症の原因の1つです。

眼窩脂肪(orbital fat)

眼窩脂肪は外眼筋付着部よりも前方の脂肪と後方の脂肪に分類され、それぞれは隣接しているものの連続しておらず別の構造となっています。

眼窩脂肪は外眼筋や眼球の支持組織群(pulleyと呼ばれる)と接しており、眼球運動の摩擦を軽減しています。
また外傷時には眼球へのダメージを避けるクッションとして機能します。

下眼瞼の眼窩脂肪は眼窩隔膜と一体となった薄い線維状の鞘に囲まれていますが、3つの区画(fat pad)に分かれています。

鼻側と中央の脂肪の間には下斜筋が、中央と耳側の脂肪の間にはarcuate expansionと呼ばれる弓状の線維が走っており、手術の際の目印となります。

3つの区画のうち最も内側の脂肪は、色調が他の区画脂肪よりも白色調であり、それは脂肪の組成が異なるためであるとされています。

眼輪筋下脂肪
(sub-orbicularis oculifat;SOOF)

上顎及び頬骨の骨膜を覆う輪筋の深部には、眼輪筋下脂肪(SOOF)と呼ばれる平面的な脂肪の層があります。

この脂肪は、眉の深部に位置する上眼瞼の眼輪筋後部脂肪(retro-orbicularis oculi fat;ROOF)に類似しています。

SOOFは横48mm×縦27mmのホッケースティックの先端のような形状をしており、その上下端は後述する2つの靭帯によって分割されています。

眼輪筋
(orbicularis oculi muscle;OOM)

眼輪筋は、前述の瞼板とおもに眼瞼の主要コンポーネントの1つです。

眼輪筋は重要な表情筋であり、顔面神経に支配される骨格筋繊維で構成されます。

眼輪筋は、眼瞼皮膚の直下にあり、その機能は瞬目を通じて隔膜全体に涙液が行き届くようにすること、また涙液ポンプ機能を助けることです。

眼輪筋は、眼窩部、眼瞼部、涙部の3つの部分で構成されており、それぞれの筋線維の太さや速筋・遅筋の筋線維の割合が異なります。

眼窩部(orbital part OOM)

内眼角腱と眼窩内側縁から起始し、外眼角を取り巻くように走行します。

眼窩部眼輪筋は随意的な閉瞼時に機能するものであり筋体はより厚く、赤みがかった色になっています。

この部分の上部の一部線維は前頭筋および皺鼻筋と交叉しています。

眼瞼部(palpebral part OOM)

内眼角腱から起始し、同心円状の曲線を形成しながら外眼角を取り巻くように走行しています。

主に自然瞬目を担っているとされ、眼窩部と比較して薄く蒼白です。

眼窩部眼輪筋にはpretarsal portion,、preseptal portion、ciliary portion が含まれます。

ciliariy portionはリオラン筋ともいわれるものでマイボーム線の周囲に分布し瞬目の調整を担っているとされています。

涙嚢部(lacrimal part OOM)

ホルネル筋とも呼ばれます。
幅約6mm、長さ12mmの小さな細い筋肉であり、後涙嚢稜の後方の眼窩面から起始し、涙嚢の内後方と接するように走行、上下眼瞼の内側端より眼輪筋眼瞼部のpretarsal portionに合します。

また、瞼板に近い部分においては涙器の一部である涙小管が内部を走行しており、眼輪筋涙嚢部の収縮・弛緩により、涙小管および涙嚢が交互に圧迫され、涙液が効率よく鼻腔へ排出されます。

眼窩周囲と頬部の靭帯
(periorbital ligaments)

下眼瞼に起こるさまざまな変化について考えるためには、下眼瞼から頬部の支持構造を理解することが不可欠で、これにあたり、2つの重要な解剖学的特徴を知っておく必要があります。

眼瞼と頬の接合部の構造と、頬骨前面のスペースとその境界です。

眼窩頬部靭帯
(orbicularis retaining ligament;ORLもしくはorbitomalar ligament;OML)

眼窩と頬の接合部は眼窩縁のレベルにあり、orbitomalar ligament(OML)の位置と一致しています。

OMLは、眼窩下縁において眼窩骨膜と皮膚をつなぐ構造であり、眼輪筋を貫通し、神秘に停止します。

OMLは、眼窩内側の上唇挙筋上方の眼窩縁と、眼窩外側のlateral orbital thickeningといわれる骨前面の結合織の肥厚している部分において特に強くなっています。

OMLの幅は中央で最大となり約10~14mm程度とされており、OMLは後述のfestoonが発生する領域の上の境界線となります。

頬部皮膚靭帯
(zygomaticocutaneous ligament;ZCL)

加齢による頬部の変化の下の境界線は、midcheek groove(通称ゴルゴ線)と呼ばれる頬の中央のひだです。

このひだの位置は、外側眼角の2,5~3cm下にある頬の中隔構造(malar septum)の位置と一致しており、この薄い不透過性膜は、OML同様に骨膜から真皮にかけての組織を貫通しています。

この中角膜はSOOFを上下で分割し上SOOFと下SOOFの両方を作り、眼輪筋を貫通して採取的に頬部真皮に停止します。

この頬部の中央にある隔膜をzygomaticocutaneous ligament(ZCL)と呼びます。

頬部前面の空間は上縁が上記のOMLで下縁がZCLであるとしました。

ZCLはfestoonが発生する領域の下の境界であり、このことは治療を考えるうえで非常に重要です。

以上下眼瞼・眼窩・頬部全体に関わる治療に必要な解剖学的構造です。
次に加齢に伴って起こる変化について解説します。

加齢に伴う変化

眼窩脂肪脱出
(orbital fat prolapse)

加齢にともない下眼瞼のふくらみが増大することが知られています。

これは眼窩隔膜が弱くなり脂肪が脱出することによりますが、周囲の皮下脂肪や皮下組織、皮膚の菲薄化により、より目立ちやすいです。

突出した部位を観察すると、皮膚を通して眼窩脂肪の3つの区画を認めることができます。

眼瞼浮腫(eyelid fluid)

眼瞼内の浮腫は、眼窩脂肪脱出と同じ部位に起こるため、眼窩脂肪脱出との違いをどう見分けるかが重要です。

これらを鑑別するポイントを以下に示します。

眼瞼浮腫は起床時もしくは塩辛い食事の後に悪化するとされています。

OMLよりも下方にはいどうせず、しばしば紫色調を示します。

上方視もしくは下方視では目立たないことが脂肪脱出とは異なります。

脱出した脂肪には3つの区画を認めますが、眼瞼浮腫ではそれらの構造を表出しません。

下眼瞼の突出
(lower eyelid bulge)

上記の眼窩脂肪脱出や眼瞼浮腫を起因としたふくらみによる下眼瞼の変化を指します。

tear trough deformity

tear trough とは、眼窩下縁内側のくぼみのことを指します。
trough とは谷やくぼみといった意味です。

tear troughは、頬の下降、OML上の皮膚や皮下脂肪の菲薄化、同部位の眼輪筋と上唇挙筋の起始部の萎縮、上顎骨の形成不全などがあるとより目立ちやすくなります。

tear troughは少し外側にいくと。OMLに一致するくぼみと、zygomaticoctaneous ligamentに一致するくぼみに分かれます。

前者はpalpebromalar groove、後者はnasojugal grooveと呼ばれます。

midcheek groove

zygomaticocutaneous ligamentによって形成されます。
palpebromalar grooveよりも下方に形成されるくぼみを指します。

皮膚の弾力性低下
(loss of skinelasticity)

皮膚の弾力性低下とは、色の質感の変化をもたらしtear trough、festoonといった凹凸の変化をよりきわだたせます。

眼輪筋の突出
(orbicularis prominence)

眼輪筋は、皮膚の弾力性低下と組み合わさって、動的および静的な細かいシワの形成に寄与します。

多くの患者は笑顔により強調される水平線あるいは斜め線を気にしますが、これは欧米人よりもアジア人の患者においてより一般的とされます。

malar moundもしくはfestoon

malar moundは、先述のtear troughとpalpebromalar groove、nasojugal grooveにより囲まれる三角形の部分を指します。

また、この部分において皮膚や眼輪筋の弾力性が失われて垂れ下がった状態をfestoonと呼びます。

この用語は、花、葉、布などお祝いの装飾を2点間の優雅なループでつなく17世紀のイタリアのフェストーンまたはフランスとフェストンに由来しています。

この区域は全身的あるいは局所的な浮腫の影響により体積が変動することがあります。

頬側浮腫(malar edema)

眼窩下縁のOMLレベルより下の、頬側隆起の上に留まる液体のこと、眼瞼浮腫と同様に起床時や塩辛い食事の後に目立つ可能性があり、時にはわずかに青みがかった変色があります。

Goldbergらは上記の項目のうち眼窩脂肪脱出、tear trough、皮膚の弾性低下、眼瞼浮腫、眼輪筋の突出、頬の膨らみの6項目がどれぐらい老化した印象に影響するのかを調べ、tear troughと眼窩脂肪脱出、皮膚のたるみの3つがより重要であると結論づけています。

治療を行ううえで、参考にしていただきたいです。

以上がクマの治療に必要な解剖の知識になります。

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